日本三國の元ネタは三国志?作者が語るモデルと時代背景・年表・設定

『日本三國』というタイトルを見ると、「これって三国志の話?」と気になりますよね。舞台は日本なのに帝や軍師が出てきて、話のタイトルには「苦肉の計」なんて言葉まで並んでいます。
そのわりに、作中の時代は大昔ではなく、文明が崩れたあとの近未来。いつの時代の話なのか、外国はどうなっているのか、登場人物に歴史上のモデルはいるのか。気になり出すと止まらない作品かなと思います。
この記事では、作者の松木いっか先生の発言と、マンガワンやアニメの公式情報をもとに、元ネタや時代背景、登場人物のモデルを整理しました。作者が明言していることと、読者の間の考察は分けて書いています。
扱うのは設定の説明までで、アニメや原作の展開・結末には触れません。情報は2026年9月29日時点のものです。

- 日本三國の元ネタが三国志といえる根拠と、三国志との違い
- 青輝や芳経など登場人物のモデルと、名前から連想される日本史
- 大和暦56年が西暦でいつごろか、公式年表でたどる時代背景
- 外国や中国の扱い、文明が後退した理由、方言が濃いわけ
日本三國の元ネタは三国志?作者の発言で整理


文明が明治初期まで後退した日本で、青輝はなぜ孫子を引けるのか。ブックライブの70%OFFなら、その答えが見える第1話から一気に追えます。
タイトルに「三國」とあれば、まず三国志を思い浮かべますよね。作者自身の言葉を手がかりに、何を借りて何を変えたのかを見ていきます。
元ネタは三国志、ただし舞台は近未来の日本

結論から言うと、『日本三國』の元ネタは三国志。これは読者の推測ではなく、作者の松木いっか先生がはっきり言葉にしていることです。
2026年1月、TVアニメ化の発表に寄せたコメントで、先生は「本作がモデルにしている三国志」と書いています。三国志には歴史書の「正史」と小説の「演義」があるとしたうえで、原作を正史とするならアニメは演義の位置づけだ、とも説明していました。
アニメ化のコメントの全文は、原作者コメントを載せた小学館の発表で読めます。原作とアニメを正史と演義になぞらえるあたりに、三国志への愛がにじんでいますね。
2024年のウェブメディア「numan」の対談では、発想のもとも語られていました。三国志を軸に、中国の王朝や日本の歴史の要素を入れていき、「日本を舞台にして三国志をやろう」と考えたそうです。
では、なぜ古代中国ではなく日本の未来なのか。2026年7月のnippon.comの記事によると、先生は地元誌のインタビューで「他国の歴史を描くことに抵抗があった」と話し、制約のない日本の未来を舞台に選んだと説明しています。
作者の発言で確認できること
- 本作は三国志をモデルにしている(2026年1月、アニメ化発表のコメント)
- 三国志に中国の王朝や日本の歴史を混ぜ、日本を舞台に三国志をやろうと考えた(2024年の対談)
- 他国の歴史を描くことに抵抗があり、日本の未来を舞台にした(地元誌のインタビュー。nippon.comの記事より)
つまり三国志は、あくまで物語の骨組みを借りた「モデル」。古代中国の話を日本に置き換えた作品というより、文明が崩れた近未来の日本を舞台にしたオリジナルの架空戦記、と考えるのがいちばん近いかなと思います。
大和・武凰・聖夷は魏・蜀・呉にあたる?

三国志といえば、魏・蜀・呉の三国。『日本三國』の三国は、西の大和、東の武凰、北の聖夷です。三つの国が天下を争う構図は、たしかに三国志そのものですね。
ただ、作者のコメントや公式の紹介を見た範囲では、「大和は魏」「聖夷は呉」のように、どの国がどれにあたるかは示されていませんでした。ネットで見かける対応表は、読者側の考察です。
三国志と並べてみると、似ているところと違うところがはっきりします。日本三國の側は、アニメ公式サイトの用語解説をもとにまとめました。
| 項目 | 三国志 | 日本三國 |
|---|---|---|
| 舞台 | 2〜3世紀の中国 | 文明が崩壊したあとの近未来の日本 |
| 三つの国 | 魏・蜀・呉 | 大和・武凰・聖夷 |
| 国が分かれたきっかけ | 後漢の衰えと群雄割拠 | 核大戦・天災・悪政から起きた革命と、軍閥の割拠 |
| 首都 | 洛陽・成都・建業など | 大阪都・小田原都(旧神奈川)・聖籠都(旧新潟) |
| 国のかたち | 3国とも皇帝を立てた | 大和と武凰は帝の君主制、聖夷は大統領の共和制 |
| 主人公 | 演義では劉備や諸葛亮が中心 | 地方役人から出世を目指す三角青輝 |
第1話の地図では、大和が西日本、武凰が関東を中心とした東日本の太平洋側、聖夷が北陸から東北の日本海側と北海道を押さえています。nippon.comの記事によると、三国の区割りは山脈などの地形を考えて決めたそうです。
また、アニメ公式の用語解説によると、戸籍人口は大和が約460万人、武凰が約317万人、聖夷が約194万人。大和がいちばん大きく、聖夷だけが大統領を置く共和制という違いもあります。
大国の帝が実力者に政治を握られているところも、三国志を思わせるポイント。大和の帝・藤3世は、公式サイトで内務卿・平殿器の傀儡に近い存在と紹介されていて、後漢の献帝と董卓や曹操の関係を重ねる人もいそうです。
魏・蜀・呉との対応表は考察です
- 大和・武凰・聖夷が三国志のどの国にあたるか、作者や公式が示したものは確認できませんでした(2026年9月29日時点)
- 「大和=魏」のような対応は、読者やブログによる推測として読むのが安全です
似ているのは、あくまで構図まで。舞台も国の成り立ちも違うので、三国志の国や人物を一対一で当てはめるより、「どの要素を借りて、どうずらしたか」を探すほうが面白い作品だと私は感じています。
三国志だけじゃない、日本史と中国古典の混ぜ方

作者が「中国王朝だったり、日本の歴史だったり」を入れていると語るとおり、作中には三国志以外の要素もたくさん混ざっています。分かりやすいのが、原作の話タイトル。
マンガワンの話一覧を見ると、アニメになった範囲(原作の第1〜21話)だけでも、歴史の言葉を下敷きにした題がいくつも並んでいました。第4話からは「聖夷西征⑤ 苦肉の計」のように、章の名前のあとに題が付く形です。
- 第2話「青輝上阪」:京都へ上る「上洛」を思わせる言い回しで、首都が大阪の大和らしい題
- 第3話「登龍門」:中国の歴史書『後漢書』に由来する故事成語。作中では、龍門光英の家で開かれる採用試験に受かり、仕官が叶うことを指す
- 第8話「苦肉の計」:三国志の赤壁の戦いで知られる計略の名前
- 第19話「薪に臥して天を諭す」:中国の故事「臥薪嘗胆」をもとにした言い回し
- 第20話「賀来の退き口」:関ヶ原の戦いの「島津の退き口」を思わせる題
地名や国の名前にも、日本史の手ざわりがあります。大和と武凰がぶつかる戦いの舞台は、戦国時代の合戦で有名な長篠。北の国の名前「聖夷」の「夷」の字から、古代の朝廷と東北の蝦夷(えみし)の戦いを連想する読者も多いようです。
公式の年表には、大和を建てた最初の帝を「太祖」と呼び、「廃県置郡」を行ったとあります。太祖は中国の王朝で建国の皇帝に贈られる呼び名で、廃県置郡は明治の「廃藩置県」をひっくり返したような言葉。中国王朝と日本史が、一つの年表の中で同居しているわけです。
台詞にも中国古典が出てきます。第1話で青輝が『孫子』の一節を引く場面は、その代表でした。読者の間でも、作者は中国史と日本史が大好きな人なんだろう、という感想がXで見られます。
登場人物のモデルは誰?三国志の武将との関係


鄧艾と鍾会がモデルの青輝と芳経の行方は、史実だけでは分かりません。新規会員限定の70%OFFは、ブックライブで1巻に使うのが得です。
頭の切れる軍師と聞くと、つい諸葛亮を重ねたくなるもの。作者が語ったモデルと、読者の連想を分けて整理します。
青輝は鄧艾、芳経は鍾会と作者が明言

作者がはっきりモデルを明かしているのは、主人公の三角青輝と、青輝とともに物語を動かす阿佐馬芳経です。2024年の対談で、先生は青輝のモデルは三国志の魏の武将・鄧艾(とうがい)だと話していました。
鄧艾は、蜀を攻め落としたことで知られる智将。先生が挙げた共通点は、地図を描くのが好きなところ、早くに親を亡くしたところ、実家が貧しいところでした。
さらに、鄧艾は吃音だったことから、「そこを饒舌に変えたら最強」と考えて生まれたのが青輝だそうです。弁舌で道を切り開く青輝のキャラクターは、史実の弱点をひっくり返して作られていたんですね。
軍師という立場から諸葛亮を連想する人も多いのですが、作者の説明では鄧艾がベース。ネットで「青輝のモデルは諸葛亮」と書かれているのを見かけたら、考察の一つとして受け止めておくのがよさそう。
一方の芳経は、同じ魏の武将・鍾会(しょうかい)がモデル。鍾会は名門の出で、母親の伝記を書くほど母を慕っていた人物として知られます。先生はその「マザコン」なところと名族の生まれを、そのまま設定に生かしたと話していました。
アニメ公式サイトの用語解説にも、芳経が母・経華について書いている伝記『経華伝』が載っています。史実の鍾会と作中の芳経が、きれいにつながるポイントですね。
ちなみに史実の鄧艾と鍾会は、同じ魏の将として蜀攻めに加わった間柄でもあります。ただ、吃音を饒舌に変えたように、作者は要素を組み替えています。史実の結末をそのまま物語の先読みに使うのは、ちょっと早いかも。
ほかの登場人物についても、先生は「誰か1人、ベースとなる武将がいて、そこにほかの武将の要素を足していく」作り方だと語っていました。モデルになるのは三国志の武将だけでなく、戦国時代の武将も含まれるそうです。
賀来や龍門、平殿器のモデルと名前の連想

よく調べられているのが、軍師・賀来泰明のモデル。読者の間では、名軍師の諸葛亮説や、曹操に仕えた郭嘉説がよく挙がっていました。
これについては、先生が2026年5月にX(旧Twitter)で、賀来のベースは「登竜門」の故事の元になった李膺(りよう)の側近・郭泰(かくたい)で、そこに賈詡(かく)や郭嘉の要素を足したと説明していました。
ただ、2026年9月29日時点では元の投稿を開けなかったので、参考情報として受け取ってください。第3話の題「登龍門」と、賀来が仕える龍門光英の名前を思い出すと、つながりが見えてきておもしろいところです。
龍門光英と平殿器については、作者がモデルを明かした発言は見つかりませんでした(2026年9月29日時点)。そのぶん、名前から日本史を連想する読み方が広がっています。
たとえば、平殿器の「平」から平家を、芳経(よしつね)から源義経を、光英(みつひで)から明智光秀を思い浮かべる、といった具合です。Yahoo!知恵袋には、大和は源平合戦がモデルなのでは、という質問もあり、回答では作者の発言をもとに三国志が軸だと説明されていました。
| 人物 | 作者・公式が示していること | 読者がよく重ねる人物 |
|---|---|---|
| 三角青輝 | モデルは魏の鄧艾(2024年の対談) | 諸葛亮 |
| 阿佐馬芳経 | モデルは魏の鍾会(2024年の対談)。母の伝記『経華伝』を書いている(アニメ公式) | 源義経 |
| 賀来泰明 | ベースは郭泰で、賈詡や郭嘉の要素を足した(2026年5月のXでの説明) | 諸葛亮・郭嘉 |
| 龍門光英 | モデルの明言は見つからず | 明智光秀 |
| 平殿器 | モデルの明言は見つからず。「平」は旧大阪の平区の領主になったことに由来(アニメ公式) | 平清盛などの平家 |
| 九羅亜輝威 | モデルの明言は見つからず | 蝦夷の英雄アテルイ |
おもしろいのが、平家の「平」の由来。アニメ公式の用語解説では、旧大阪の平区の領主に命じられたことから「平」を名乗った、と説明されています。名前の響きで日本史を連想させつつ、設定上の由来は別に用意しているわけです。
「義経っぽい名前なのにモデルは鍾会」というように、名前の連想と作者の語るモデルは、たいてい一致しません。このずれを楽しむのが、日本三國のモデル探しのコツかなと思います。
日本三國は何年後の話?時代背景と年表


大和暦56年の冬、愛媛の役人だった青輝はなぜ日本再統一を誓うのか。今日ブックライブで70%OFFを受け取れば、第1話は今夜から読めます。
物語の始まりは大和暦56年。この数字が今から何年後にあたるのか、公式の年表と人物紹介をたどって確かめます。
大和暦56年は西暦でいうと何年ごろ?

原作の第1話は、「令和末期」という言葉から始まります。衰退した日本を核大戦や大震災が襲い、国が崩壊。そこから数十年後に、大和・武凰・聖夷の三国時代に入った、という流れでした。
舞台版の公式サイトでは、物語の始まりを「大和歴56年冬」と紹介しています。アニメ公式サイトの人物紹介を見ると、主人公の青輝は大和暦41年生まれ。物語が始まる大和暦56年には、15歳ほどの計算です。
では、大和暦56年は西暦でいうと何年ごろなのか。公式が西暦に直した数字は出ていませんが、マンガワンの公式年表から目安を出すことはできます。
- 年表の西暦の記述は2058年までで、そのあと各地が独立して戦国時代に入る
- 約30〜50年の戦国時代を経て、大和暦が始まる
- 戦国時代の始まりを2058年ごろとすると、大和暦1年は西暦2088〜2108年ごろ、大和暦56年は2143〜2163年ごろ
つまり物語の舞台は、今からおよそ120〜140年後の日本というのが一つの目安になります。Yahoo!知恵袋でも、同じように年表から計算して、西暦2144〜2164年以降と答えている人がいました。
戦国時代の始まりがもう少し遅ければ、そのぶん後ろにずれます。あくまで「22世紀の半ばごろ」くらいの感覚でとらえておくのがよさそう。
ちなみに、暦は国ごとに違うようです。聖夷の輪島桜虎の生まれ年は、公式サイトで「聖紀25年」と紹介されていました。大和は大和暦、聖夷は聖紀というわけです。
出身地の書き方も、大和の人物は「愛媛郡」「大阪都」、聖夷の桜虎は「能登省」とそれぞれ。国が分かれて、時間の数え方や土地の呼び方まで別々になっているんですね。
大和暦の数え方メモ
- 西暦への換算は、公式年表の「戦国時代 約30〜50年間」から出した目安です(公式の換算ではありません)
- 表記は、マンガワンの年表とアニメの人物紹介が「大和暦」、舞台版公式とアニメの用語解説が「大和歴」です
- 年表では西暦2050年代にも改元が行われておらず、第1話の「令和末期」はこの時期にあたると読めます
公式年表で追う、西暦2045年から大和暦まで

作品の歴史は、マンガワンの日本三國の年表・人物紹介ページで公開されています。2026年9月29日時点では無料で読めるので、細かく知りたい人はぜひ本物を見てみてください。
先生は2024年の対談で、連載を始める前に「大和暦何年に何が起きる」という歴史書のような年表を全部作り、それを漫画に落とし込んでいると話していました。休載していた期間には、その歴史の「解釈を変えてみた」とも語っています。
公式年表の出来事と、アニメ公式サイトの人物紹介にある生まれ年を、1本の流れにまとめてみました。
| 時期 | 主な出来事 |
|---|---|
| 西暦2045〜2050年 | 米中のサイバー戦争から核大戦へ。各国の工作員が海底ケーブルを破壊し、デジタルネットワーク社会が崩壊 |
| 西暦2051〜2055年 | 核大戦のあと中国が内戦に入り、軍閥が割拠。日本には難民が入り、感染症の流行と暴動が続く |
| 西暦2056〜2058年 | 首都直下地震と南海トラフ巨大地震。焚書令と暴力大革命で人口は十分の一以下に。各地が独立して戦国時代へ |
| 戦国時代(約30〜50年) | 軍閥が割拠。年表でも「資料に乏しい時代」とされる |
| 大和暦1〜5年 | 近畿連合国が西日本を平定。太祖・藤1世が即位し、大阪を首都に大和を建国 |
| 大和暦5年・8年 | 平殿器(5年)、龍門光英(8年)が生まれる |
| 大和暦6〜10年 | 北陸と東北の勢力がまとまり、聖籠(旧新潟)を首都に聖夷を建国 |
| 大和暦27〜41年 | 賀来泰明(27年)、藤3世(33年)、阿佐馬芳経(39年)、東町小紀(40年)、三角青輝(41年)が生まれる |
| 大和暦56年 | 物語が始まる(舞台版公式では「大和歴56年冬」) |
出来事はマンガワンの年表(2022年1月公開)、生まれ年はアニメ公式サイトの人物紹介から拾いました。武凰がいつ建国したのかは、確認できた公式ページには書かれていません。
読んでみると、戦争、災害、疫病、革命と、悪いことが立て続けに起きる年表です。マンガワンの年表ページのコメント欄にも、最悪のケースが連続して起きている、という趣旨の感想が寄せられていました。
アニメのエンディング映像に映る年表が気になった人も多いようで、Xでは、エンディングの年表をしっかり読みたいなら原作1巻を、という声も見かけました。物語が進むにつれて、マンガワンでは年表の続編も公開されています。
物語が始まってから何が起きるのかを話ごとに追いたい人は、日本三國アニメ全12話のネタバレと結末にまとめています。最終回まで触れているので、ネタバレが大丈夫な人だけどうぞ。
外国や中国の行方と、文明が後退した理由

年表をたどると、崩れたのは日本だけではありませんでした。外国の行方と、文明が明治初期のレベルまで後退した理由を順に見ていきます。
中国やアメリカなど外国はどうなった?

「この世界の海外はどうなっているの?」という疑問は、Yahoo!知恵袋にも寄せられていました。原作の冒頭で語られるのは、世界で核大戦が起き、日本は戦地にならなかったものの外国から難民が押し寄せた、というところまでです。
もう少し詳しい手がかりは、マンガワンの公式年表にあります。書かれている流れを短くまとめると、次のとおり。
- 米中のサイバー戦争のさなか、米国本土での核爆発を米国が中国の攻撃と誤認し、核大戦に発展
- 報復の連鎖が世界に広がり、海底ケーブルも壊されて通信網が崩壊
- 中国は米国を殲滅したものの国力を使い果たし、内戦から軍閥割拠の戦国時代へ
- 各国の米軍基地は解体され、日本には難民が流れ込む
「日本三國のアメリカは?」と気になる人もいますが、年表の上では、アメリカは核大戦で中国に殲滅されたことになっています。その中国も勝ったあとに内戦で崩れ、軍閥が割拠する戦国時代に入りました。
私がおもしろいと感じたのは、中国でも日本でも、国が崩れたあとに「戦国時代」が来ている点です。三国志も、後漢が衰えて群雄が割拠したあとに三国が並び立つ物語。その流れを、近未来の日本でもう一度起こしてみせた構図に見えます。
ただし、公式年表で世界の動きが書かれているのは西暦2058年ごろまで。大和暦の時代に中国や外国がどうなっているのかは、確認できた公式情報では分かりませんでした(2026年9月29日時点)。
読者の間では、大国がどこも力を失ったからこそ、弱った日本が外から攻められずに三国で争い続けていられる、という読み方もあります。筋は通っていますが、考察として楽しむのがよさそう。
なお、年表ページの冒頭には、作者名義で「名称、設定は全て、荒唐無稽な架空の産物」という注意書きがあります。特定の主義・思想に誘導する意図もない、と添えられていました。実在の国名が出てきても、架空の歴史として読むのが前提です。
設定はありえない?文明が後退した3つの理由

「数十年で明治初期まで戻るなんて、設定に無理がない?」と感じる人もいるかもしれません。公式年表を読むと、文明が一気に後退した理由が、ちゃんと用意されていることが分かります。
1つ目は、焚書令。年表によると、国が崩れる直前の新日本政府は、科学技術を使った戦争を避けるためとして、科学に関する資料をことごとく焼き払いました。技術を取り戻そうにも、手がかりになる本が残っていないわけです。
2つ目は、通信網の崩壊です。核大戦のさなかに世界中の海底ケーブルが壊され、東京・大手町や大阪・堂島などにあったインターネットの接続拠点も壊滅しました。ネットに頼っていた知識や仕組みが、まとめて失われたことになります。
3つ目は、暴力大革命と人口の激減。飢饉やインフラの破壊が重なり、人口はわずか数年で十分の一以下になりました。原作の第1話でも、文化やインフラ、テクノロジーが失われ、「事実上の、日本滅亡である。」と語られます。
その結果が、明治初期レベルの暮らしです。nippon.comの記事では、車はすべて廃棄物になり、移動は徒歩か馬、インターネットどころか電気も電話もない世界だと紹介されていました。
こう見ると、青輝が「旧文明の知識に長けている」と紹介されている意味も分かってきます。科学の本まで焼かれた世界では、古い時代の知識を持っていること自体が武器になる。青輝の強さは、この設定と深く結びついているんですね。
公式年表では、大和が建国してすぐに銃の製造を始めたことも書かれていました。技術がゼロになったわけではなく、明治の初めごろの水準からやり直している世界、と考えるとイメージしやすいかも。
方言が濃い理由と、元ネタを知った後の楽しみ方

愛媛の言葉に大阪の言葉、ときには若者言葉まで飛び出すのも日本三國の味わい。方言のわけを確かめたら、元ネタを手がかりに原作を読み返してみましょう。
方言が濃いのは作者の地元・愛媛が出発点

日本三國を読んでいて驚くのが、方言の多さ。青輝や妻の小紀は愛媛の言葉、首都・大阪の人たちは大阪の言葉で話し、アニメ公式サイトの紹介台詞も「私は、勘がええんですわ。」(賀来)のように方言まじりです。
文明が崩れて地域ごとの言葉が濃くなったから、と考えたくなりますよね。ところが先生は2024年の対談で、方言を使った理由を「1話で地元の愛媛を出しちゃったから」と明かしています。
愛媛が舞台なのに標準語を話すのはおかしいと思って方言にしたら、「ほかの地域にも方言あるやん」となり、気づけば方言だらけになった、という流れだそうです。作者の松木いっか先生は、青輝と同じ愛媛県の出身でした。
対談相手の、文明が衰退して地域ごとの言葉の濃さが戻ったのでは、という推察に、先生は「そういう推察とか考察ってありがたい」と喜びつつ、方言についてはそこまで考えていなかったと答えています。
つまり、文明崩壊で方言が濃くなったというのは読者側の解釈。作者の意図ではないけれど、世界観にぴったりはまる考察として楽しめるのがいいところですね。
方言は先生が自分で調べていて、Xで地元の人の投稿をたどって学んだり、コメントで指摘されて直したりすることもあるそうです。nippon.comの記事では、大和では大阪弁が標準語のように使われていることや、「ガチ」「とりま」といった若者言葉がよく混ざることも紹介されていました。
読者の間では、関西の人から、実際の大阪弁とは少し違う「架空の西日本語」に聞こえる、という受け止めもあります。とはいえ舞台は100年以上先の日本。言葉が今と少し違うのも味のうちかなと、私は思っています。
元ネタを知ってから原作を1巻から読み返す

ここまで元ネタや時代背景を見てきましたが、いちばんのおすすめは、それを踏まえて原作を1巻から読み返すことです。知ってから読むと、同じページでも目に入るものが変わってくるはず。
たとえば、次のような場面。
- 第1話冒頭のナレーション:年表と見比べると、令和末期から三国時代までの流れがつながる
- 第1話の青輝の台詞:『孫子』の一節だと分かると、言葉の重みが増す
- 第3話「登龍門」などの話タイトル:元の故事を知っていると、題に込めた意味にニヤリとできる
- 青輝と芳経のやりとり:鄧艾と鍾会がモデルだと知ると、二人の関係の見え方が変わる
中でも第1話は、年表で見た令和末期からの流れが冒頭の数ページに凝縮されていて、読み返したときの発見がいちばん多い回かなと思います。
作者はアニメを演義、原作を正史にたとえていました。三国志ファンが正史と演義を読み比べるように、アニメで見た場面を原作で確かめるのも、この作品ならではの楽しみ方かなと思います。
アニメと原作でどこが違うのかは、アニメの評価と原作との違いで詳しく比べています。読み返す前に、違いの目星をつけておくのもおすすめ。
原作の第1話と公式年表は、マンガワンで無料公開されています(2026年9月29日時点)。まず冒頭だけ確かめたい人は、そちらから入るのが手軽です。
腰を据えて読み返すなら、電子書籍の単行本が便利。ブックライブでは1〜7巻が配信中で、1巻は759円(税込)、ブラウザで読める試し読みもありました(2026年9月29日時点)。
アニメで描かれたのは、原作の1〜4巻(第1〜21話)まで。元ネタを意識してじっくり読み返すなら1〜4巻、アニメの先が気になるなら5巻の第22話から、という分け方が分かりやすいかも。
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日本三國の元ネタに関するよくある質問

Q1. 日本三國は実話や実在の歴史がもとになっていますか?
A. 実話ではなく、フィクションの架空戦記です。作者は公式の年表ページで、名称や設定はすべて架空のものだと断っています。
三国志をモデルにしつつ、中国の王朝や日本史の要素を混ぜて作られた作品です。
Q2. 日本三國のモデルになった人物は誰ですか?
A. 作者がはっきり明かしているのは、三角青輝のモデルが魏の鄧艾、阿佐馬芳経のモデルが魏の鍾会という2人です(2024年の対談)。
賀来泰明については、作者が2026年5月にXでベースは郭泰と説明していましたが、2026年9月29日時点では元の投稿を確認できませんでした。
Q3. 日本三國は今から何年後の話ですか?
A. 公式が西暦に直した数字はありません。公式年表の「戦国時代 約30〜50年間」から計算すると、物語が始まる大和暦56年は西暦2143〜2163年ごろで、今からおよそ120〜140年後が目安です。
Q4. 日本三國の世界でアメリカや中国はどうなっていますか?
A. マンガワンの公式年表では、米中の核大戦のあと、アメリカは中国に殲滅され、中国も内戦で崩れて軍閥が割拠する戦国時代に入ったとされています。
大和暦の時代の外国の様子は、確認できた公式情報では分かっていません(2026年9月29日時点)。
日本三國の元ネタは三国志、モチーフで読むと面白い

最後に、この記事の内容をおさらいします。
- 日本三國の元ネタは三国志。作者がアニメ化のコメントで「モデルにしている」と明言している
- 舞台は近未来の日本で、中国の王朝や日本史の要素も混ぜたオリジナルの架空戦記
- 大和・武凰・聖夷と魏・蜀・呉の対応は、作者も公式も示していない
- 作者が明かしたモデルは、青輝=鄧艾、芳経=鍾会
- 物語の始まりは大和暦56年で、公式年表から計算すると西暦2140〜2160年代ごろが目安
- 方言が濃いのは、作者の地元・愛媛を第1話で描いたのがきっかけ
三国志の人物や国を一対一で当てはめようとすると、かえって見落とすものが出てきます。どの要素を借りて、どうずらしたのか。そのモチーフの使い方に目を向けると、日本三國はぐっと面白くなるはずです。
元ネタを知った今なら、第1話の冒頭や青輝の台詞も、きっと違って見えるはず。ブックライブの日本三國の原作で、1巻から読み返してみてください。
伏線や台詞の意味に気づけると、読み返すたびに発見がある作品です。続編のアニメを待つあいだも、原作で日本三國の世界を楽しんでいきましょう。

