黒執事アニオリ解説|原作との違い・視聴順・評価まとめ

アニメ「黒執事」を視聴する上で多くのファンが直面するのが、アニメオリジナル、通称「アニオリ」の存在です。
1期のアリオリはどこから始まるのか、そもそもアニオリはなぜ制作されたのか、という疑問から、一部でアニオリはひどい、特に2期は黒歴史だという厳しい評価まで、様々な意見が飛び交います。
この記事では、そうした疑問に答えるべく、アニメの正しい順番や、原作ファンがアニオリを飛ばす場合の視聴方法、魅力的なアニメオリジナルキャラの紹介、そして気になるアニオリへの作者の関与や、アニメと原作の具体的な違いについて、網羅的に解説していきます。

- アニメオリジナル展開の理由と具体的な開始話数
- 原作準拠で楽しむための推奨視聴順序
- アニメと原作のキャラクターや世界観の主な違い
- アニメオリジナルに対する様々な評価とその背景
黒執事アニオリの基本情報と評価
アニオリはなぜ制作されたのか

アニメ『黒執事』でオリジナル展開が採用された最も大きな理由は、「原作ストック不足」です。アニメ第1期が放送された2008年当時、原作漫画はまだ連載初期段階で、アニメの放送ペースに物語の供給が追いついていませんでした。
月刊誌での連載である原作に対し、アニメは週1回放送されるため、どうしても進行速度に差が生まれます。
2クール(全24話)という放送枠を最後までやり遂げるためには、アニメ独自のストーリーを制作する必要があったのです。この決断により、物語の後半は原作とは異なる独自の結末を迎えることになりました。
第2期『黒執事II』に至っては、物語の全てが完全オリジナルで制作されています。これも、第1期が好評だったため早期に続編企画が立ち上がったものの、依然として原作ストックが不足していたことが背景にあります。
制作陣は「もう一つの主従」という新たなテーマを掲げ、完全新作として展開する道を選びました。
アニオリが生まれた背景
- 原作ストック不足:アニメ放送当時、原作の連載がまだ序盤だった。
- 放送枠の確保:2クール(半年間)のアニメを完結させる必要があった。
- 商業的判断:作品の人気を維持しつつ、関連商品を展開する狙いもあった。
1期のアニオリはどこから始まる?

『黒執事』第1期におけるアニメオリジナル展開は、段階的に挿入されているため、少し複雑です。原作準拠の話とオリジナル話が混在しており、完全に分岐するのは物語の後半からとなります。
具体的には、第7話から第12話の「魔犬編」が、最初のアニメオリジナルエピソード群です。ここでは、原作には登場しない魔犬プルートゥや天使アンジェラといったキャラクターが登場します。
その後、第13話から第15話で原作の「カレー編」に戻りますが、第16話以降は最終話の第24話まで、完全にアニメオリジナルのストーリーが展開されます。この後半部分で、天使アッシュを巡る物語が描かれ、原作とは全く異なる独自の結末を迎えます。
話数 | エピソード名 | 区分 |
---|---|---|
第1話~第6話 | 切り裂きジャック編(赤執事編) | 原作準拠 |
第7話~第12話 | 魔犬編 | アニメオリジナル |
第13話~第15話 | カレー編(黄執事編) | 原作準拠 |
第16話~第24話 | 天使アッシュ編 | アニメオリジナル |
登場したアニメオリジナルキャラ

アニメオリジナル展開を語る上で欠かせないのが、独自に生み出された魅力的なキャラクターたちです。彼らの存在が、アニメ版『黒執事』の世界観を大きく広げました。
アッシュ・ランダース/アンジェラ・ブラン
第1期アニオリの中心的キャラクターで、その正体は「天使」です。普段はヴィクトリア女王に仕える執事アッシュと、メイドのアンジェラという二つの姿を使い分ける両性具有の存在として描かれました。
不浄を嫌い、人間界を「浄化」しようとする過激な思想を持ち、セバスチャンと対立します。
魔犬プルートゥ
「魔犬編」で登場した巨大な魔犬。興奮すると銀髪の青年の姿に変身できますが、言葉を話すことはできません。
ファントムハイヴ家に引き取られますが、最終的には天使に操られて暴走し、悲劇的な最期を遂げます。
アロイス・トランシーとクロード・フォースタス
第2期『黒執事Ⅱ』の主人公たちです。アロイスは、壮絶な過去を持つもう一人の少年当主で、執事クロードと契約しています。
シエルとセバスチャンとは対照的な、歪で刹那的な主従関係が描かれ、多くの視聴者に強烈な印象を残しました。
これらのアニメオリジナルキャラクターのデザイン原案は、原作者の枢やな先生自身が担当しています。そのため、原作の雰囲気と見事に調和したビジュアルとなっています。
アニオリに対する作者のスタンス

アニメオリジナル展開について、原作者である枢やな先生がどのように関わっていたのかは、多くのファンが気にする点です。先生は、この件について自身のSNSやブログで考えを明らかにしています。
結論から言うと、枢やな先生はアニメオリジナル展開を「許諾」し、一部「監修」もしていました。これは、制作側が勝手に物語を改変したわけではないことを意味します。
先生の発言によると、第1期制作時にアニメスタッフから「最終回でシエルを死なせてもいいか」と問われ、驚きつつも「大半がオリジナルになるアニメが面白く終われるなら」という条件で了承したそうです。
原作者としては、自身が生み出したキャラクターの運命を他者に委ねるのは、非常に大きな決断だったはずです。それでも作品全体の面白さを優先する姿勢は、クリエイターとしての懐の深さを感じさせますね。
また、前述の通り、アニメオリジナルキャラクターのデザイン原案を手がけるなど、制作に協力する立場を取りました。
一方で、「自分の仕事は原作漫画」というスタンスを明確にしており、アニメはアニメ制作陣のクリエイティブを尊重するという考えを示しています。
アニオリはひどいという評価の真相

「黒執事 アニオリ ひどい」というキーワードで検索する人がいるように、アニメオリジナル展開には否定的な意見も少なくありません。そのように評価される主な理由は、「原作の世界観との乖離」と「物語の整合性の問題」に集約されます。
特に批判が集中したのは、第2期『黒執事Ⅱ』でした。第1期で一度完結したはずの物語を覆し、シエルが復活。さらに最終的にはシエル自身が悪魔になるという結末は、「シエルの魂を食らう」というセバスチャンとの契約の根幹を揺るがすものでした。
原作のテーマである「あくまで人間であるシエルと、悪魔であるセバスチャンの契約関係」を重視するファンにとって、この展開は受け入れがたいものだったのです。
アニオリへの主な批判点
設定の矛盾
第1期の結末を覆した上、シエルが悪魔になる展開が原作の根本設定と矛盾する。
キャラクターの改変
原作のキャラクター性が変わってしまったと感じるファンがいた。
蛇足感
第1期で美しく完結した物語に、不要な続きを付け加えたと感じられた。
ただ、一方で「原作にない展開だからこそ楽しめた」「アロイスやクロードのキャラクターが魅力的だった」といった肯定的な声も存在します。アニオリ展開は、ファンの間で評価が大きく分かれる、非常に挑戦的な試みだったと言えるでしょう。
2期はシリーズの黒歴史なの?

第2期『黒執事Ⅱ』は、その大胆なオリジナル展開から、一部のファンから「黒歴史」と呼ばれることがあります。これは、第3期以降のシリーズが原作準拠のストーリーに戻り、第2期の物語がなかったかのように進行することが大きな理由です。
公式に「第2期はパラレルワールドです」と明言されているわけではありません。しかし、物語の時系列上、第3期『黒執事Ⅲ Book of Circus』は第1期の原作準拠パート(カレー編の後)に繋がるため、第2期は本筋から外れた物語として扱われています。
このため、新規ファンからは「見るべきか飛ばすべきか分からない」と混乱を招く一因にもなっています。
商業的には、関連CDやDVDの売上は好調で、イベントも盛況でした。ビジネス面では決して「黒歴史」ではなく、むしろ成功を収めています。評価はあくまで物語の内容に対するものであり、作品の価値は多角的に見る必要がありますね。
現在では、放送から時間が経過したこともあり、「原作とは切り離した独立した作品として楽しむ」「映像美や音楽は素晴らしい」といった再評価の動きも見られます。「本筋とは異なるifストーリー」として捉えることで、その独自の魅力を発見できるかもしれません。
黒執事アニオリとの付き合い方と原作
原作ファン向けアニメの順番

「原作のストーリーを忠実に追いたい」という方のために、アニメオリジナル部分を避け、時系列に沿って視聴するための推奨順序があります。この順番で見ることで、物語の矛盾なくスムーズに内容を理解できます。
重要なのは、第1期の一部と第2期をスキップし、黒執事Ⅲ Book of Circusに繋げることです。
原作準拠の推奨視聴順
- 黒執事 第1期(第1話~第6話、第13話~第15話のみ)
- 黒執事 Book of Circus(第3期)
- 黒執事 Book of Murder(OVA)
- 黒執事 Book of the Atlantic(劇場版)
- 黒執事 -寄宿学校編-(第4期)
- 黒執事 -緑の魔女編-(第5期・2025年予定)
この順番で視聴することで、原作漫画の展開通りに物語を追いかけることができます。2024年に放送された「黒執事 -寄宿学校編-」や、2025年に放送予定の「黒執事 -緑の魔女編-」もこの時系列に連なる物語です。
OVA作品である『Book of Murder』は、『Book of Circus』の後のエピソードです。時系列を正しく追うなら、この順番で見るのがおすすめです。
アニオリを飛ばすという選択肢

前述の通り、原作準拠で物語を楽しみたい場合、アニメオリジナル部分を「飛ばす」という視聴方法は非常に有効な選択肢です。
アニオリを飛ばすメリット
最大のメリットは、物語の一貫性が保たれることです。キャラクター設定のブレや、後付けによる矛盾を感じることなく、原作の持つ緻密な伏線や世界観を純粋に楽しむことができます。
また、視聴時間を大幅に短縮できるため、忙しい方でもシリーズを追いやすくなります。
アニオリを飛ばすデメリット
一方で、デメリットも存在します。アロイス・トランシーやクロード・フォースタスといった、アニオリでしか見られない魅力的なキャラクターの物語を体験できないことです。
また、アニオリも含めて楽しんでいるファンとの会話で、話題についていけない可能性も考えられます。
私のおすすめは、まず原作準拠ルートで視聴を終えた後、興味が湧いたら「外伝」や「ifストーリー」としてアニオリ部分を視聴する方法です。こうすれば、本筋の理解を損なうことなく、作品の世界をより多角的に楽しめますよ。
アニメと原作、基本的な関係は?

『黒執事』におけるアニメと原作の関係は、「途中まで同じ道を歩み、その後二つの異なる道に分岐した」と理解するのが最も分かりやすいです。
第1期の前半までは、アニメは原作の物語をなぞる形で制作されました。しかし、前述の「原作ストック不足」という事情から、アニメは独自の道を歩み始め、一度完結を迎えました。これが「アニメ版黒執事」の世界です。
その後、原作のストックが十分に溜まった2014年以降、制作方針を転換。改めて原作の時系列に沿った形でアニメ化が再開されました。これが第3期以降の「原作準拠版アニメ」となります。
2つの『黒執事』
アニメ版(第1期後半~第2期)
天使の存在やシエルの悪魔化など、独自の要素で完結した物語。
原作準拠版(第1期前半、第3期以降)
原作の物語を忠実に映像化した、現在も続く物語。
このように、『黒執事』のアニメシリーズは、大きく分けて二つの流れが存在する特殊な構成になっています。
どちらが良い・悪いということではなく、それぞれが独立した魅力を持つ「別の作品」として楽しむのが賢明な付き合い方と言えるでしょう。
アニメと原作の具体的な違い

アニメと原作では、ストーリー展開以外にも、キャラクターの性格描写や世界観の細部に違いが見られます。
セバスチャンの性格描写
最も顕著な違いは、セバスチャンの性格です。原作者の枢やな先生も言及していますが、アニメのセバスチャンは原作に比べて「優しい」印象を受けます。
シエルに対して、執事の業務を超えたような気遣いや保護的な態度を見せることがあります。一方、原作のセバスチャンはより冷徹で、あくまで契約者としてシエルに接する「悪魔」らしさが強調されています。
世界観の根本設定
アニメ第1期では、「天使」という原作には存在しない超自然的な存在が導入されました。これにより、物語は「悪魔 vs 天使」という分かりやすい対立構造になりました。
原作では、悪魔や死神は存在するものの、より19世紀英国の社会問題や人間同士の陰謀に焦点が当てられています。
項目 | アニメ(特にオリジナル部分) | 原作 |
---|---|---|
セバスチャンの性格 | 人間味があり、シエルに優しい側面を見せる | より冷徹で悪魔らしい性格が徹底されている |
超自然的存在 | 悪魔、死神に加え、天使が登場する | 悪魔と死神が中心 |
物語の結末 | 第1期・第2期でそれぞれ独自の結末を迎える | 現在も連載中で結末は不明 |
シエルの運命 | 第2期で悪魔になるという展開がある | 人間として復讐を遂げようとしている |
黒執事アニオリ情報の総まとめ

今回のポイントを簡潔に振り返ってみましょう
- 『黒執事』のアニオリは第1期第7話から段階的に始まる
- 第1期第16話以降と第2期は完全なアニメオリジナル展開
- アニオリが制作された最大の理由は原作ストック不足だった
- アニオリには天使や魔犬、アロイスといったオリジナルキャラが登場する
- オリジナルキャラクターのデザインは原作者の枢やな先生が担当した
- 原作者はアニオリ展開を条件付きで許諾し、監修にも関わっていた
- アニオリ、特に第2期が「ひどい」と言われるのは原作設定との矛盾が原因
- シエルが悪魔になる結末は、原作ファンの間で大きな物議を醸した
- 第2期は物語の繋がりから「黒歴史」や「ifストーリー」と扱われることがある
- 原作準拠で楽しむなら、第1期の一部と第2期を飛ばす視聴順が推奨される
- アニオリを飛ばすと物語の一貫性が保てるが、オリジナルキャラの魅力は見逃す
- アニメと原作ではセバスチャンの性格などキャラクター描写に違いがある
- アニメと原作はそれぞれ独立した魅力を持つ別作品として楽しむのがおすすめ
- 原作漫画は緻密な伏線と社会派なテーマが魅力
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